多くのアマチュアゴルファーにとって、大きな目標でありながら高い壁として立ちはだかるのが「100切り」や「ベストスコア更新」です。熱心に練習場に通い、スイングを研究しているのにもかかわらず、コースに行くとどうしても100が切れないと悩む人は後を絶ちません。
佐久間氏が提唱する「Sメソッドゴルフ」では、100切りができないのはスイングの美しさや運動神経の問題ではなく、「どうやったら100叩きしてしまうのか(エラーの原因)」を正しく理解し、それを避ける戦略を持っていないからだと指摘しています。
本記事では、100切り選手権の指南役として長年アマチュアのプレーを見続けてきた佐久間氏の解説に基づき、ダブルボギーやトリプルボギーを徹底的に排除し、スマートに100切りを達成するための具体的なコースマネジメントと技術的なポイントを詳しく解説します。
1. 100切りは算数である!2ホール「合計11」に収める引き算の思考
ゴルフは1打ずつの積み重ねですが、スコアカードに書かれた数字をただ眺めて一喜一憂していると、冷静な判断ができなくなります。100切りを確実にするためには、まずゴルフをシンプルな「数字のゲーム」として捉え直すことが大切です。
「ボギーとダブルボギー」が交互にくれば99になる
100を切るためのスコア設計は、実は非常にシンプルです。 18ホールのうち、ボギーとダブルボギーが交互にくれば、合計27オーバーになります。 これをパープレーの72に足し算すると、スコアは99になります。つまり、ハーフ49と50で回れば、1回もパーが取れなくても、トリプルボギーさえ打たなければ100は切れるのです。
2ホールの合計を「11」に収めるゲーム
さらに分かりやすく分解すると「2ホールの合計打数を11以内に収める」になります。
- パー4で「5(ボギー)」、次のパー4で「6(ダブルボギー)」なら、合計「11」でクリアです。
- もしあるホールで「7(トリプルボギー)」を叩いてしまったら、別のホールで「4(パー)」を取らなければ、2ホールの合計が11になりません。パーオンが難しいアマチュアにとって、バーディやパーを狙って取るのは非常に難しいため、一度「7」や「8」という大叩きをしてしまうと、一気に100切りが苦しくなってしまいます。
スコアカードのダボやトリプルという文字を意識すると焦りが生まれますが「単なる数字」として捉え「7を打ってしまったから、次のパー3で4を取って合計11に収めよう」と引き算で考えることで、いつでも冷静な精神状態を保つことができます。
2. なぜ3打目でグリーンに乗らないのか?諸悪の根源は「2打目の選択」
ゴルフの基本的な構成は、18ホールのうち「ロングゲームが36回」「ショートゲーム(パットやアプローチ)が36回」で合計72となります。
90台で回るゴルファー(ボギーペース)の場合、パーオンはほぼありませんが、2打目でグリーンのすぐ近くまでボールを運び、3打目のアプローチで乗せて2パット(計36パット)で上がることでボギーをキープしています。
しかし、100切りができないゴルファーは「3打目(パー4の場合)になってもまだグリーンに乗らない」、あるいは「4打目でも乗らない」という状態に陥っています。乗せるまでに打数を費やしてしまい、グリーンに乗った段階ですでにダブルボギーやトリプルボギーが確定してしまっているのです。
では、なぜ3打目でグリーンに乗らないのでしょうか? その原因は、ティーショットの飛距離不足ではなくセカンドショットのエラーにあります。
ラフからの「無理なウッド選択」がエラーを招く
100切りに挑戦するゴルファーの多くは、ティーショットが少し曲がってラフに入った際、グリーンまでの距離が残っているという理由だけで、迷わずユーティリティやフェアウェイウッド(3番や5Wなど)を手に取ってしまいます。
しかし、夏の深いラフや厳しいライからウッドを振り回すと、以下のような壊滅的なミス(エラーショット)が頻発します。
- ボールの手前の芝に負けてチョロをして、数ヤードしか進まない。
- ボールの下をヘッドが抜けてしまい、フェース上部に当たって天ぷらになり、10ydしか飛ばない。
- 最悪の場合、ミスを挽回しようと大振りしてトップし、手前の谷や崖下に落としてOBやペナルティを喰らう。
ラフからウッドを持ってチョロを繰り返していれば、2回、3回と打っても元の場所からほとんど進みません。結果として、3打目でグリーンを狙える位置にすらたどり着けず、大叩きへと繋がっていくのです。
3. ラフに入ったら即「謝る」!アイアンで確実にフェアウェイへ戻す勇気
Sメソッドゴルフにおいて、100切りを達成するための最も重要な鉄則が「ラフに入ったら、即座にミスを認め、ゴルフ場に『謝る』こと」です。
早く謝る(刻む)と、致命傷にならない
ゴルフは、自分のミスに対して合情を張らず、早く謝る(レイアップして安全な場所に刻む)ことで、被害を最小限に食い止めることができます。
ティーショットがラフに行ってしまったら、グリーンを直接狙うことをすっぱりと諦めましょう。 「ラフに入ったらアイアンを持つ」というマイルールを決めておくのです。
- 7番アイアン、8番アイアン、9番アイアンなどを選択する。
- 多少ダフり気味に入っても、あるいはフライヤー気味に飛んでも、フェアウェイという安全な場所にボールを「戻す」ことだけを考えて打つ。
このように、セカンドショットを無理に飛ばそうとせず、アイアンで確実に100yd〜150yd前に運ぶことができれば、2打を終えた段階でボールはグリーンまで残り50yd〜100yd以内のエリア(3打目で優しくグリーンに乗せられる場所)に確実に到達します。
ラフから無理をしてウッドで大叩き(エラーショット)をするよりも、アイアンで安全に刻んで「0.3点程度の軽いミス」にとどめておく方が、はるかに賢くボギーやダボで上がることができます。ラフからフェアウェイへ出すために、バッグには必ず「8番アイアン」などの扱いやすいアイアンを入れておき、迷わずそれを選択する謙虚さが必要です。
【技術解説】ラフからアイアンで打つ際の構え方
ラフからアイアンで安全に脱出する(フェアウェイに出す)ための、具体的なアドレスとスイングのコツです。
- クラブを短く持つ」。
- ボールに「近く立つ」。
- 近く立つことで、スイング軌道が自然と「アップライト(縦に鋭い軌道)」になります。
ウッドのように横から払い打とうとすると、ボールの手前にある深い芝生(ラフ)をそれだけ多く倒さなければならず、芝の抵抗でヘッドスピードが著しく落ちてしまいます。 短く持って近くに立ち、上から鋭角(アップライト)にヘッドを入れれば、余計な芝の抵抗を受けずにクリーンにボールにコンタクトでき、ミスを防ぐことができます。
4. ティーショットは「飛ばそうとしないドライバー」が一番優しい
ラフからのウッド使用を禁止する一方で、佐久間氏は「ティーショット(1打目)においては、無理にスプーン(3W)やクリーク(5W)で刻むよりも、ドライバーを持った方が優しい」とアドバイスしています。
ドライバーが最も優しいと言える理由
- フェース面が最も大きい:ドライバーのヘッドはどのクラブよりも大きく、芯(スイートスポット)のエリアも広いため、安心感があります。
- 一番練習しているクラブである:ゴルファーが練習場で最も多く打っているのはドライバーであり、振り慣れているため、本番での再現性が高くなります。
- ティーアップできる:平らなティーグラウンドから、ボールを高く浮かせた(ティーアップした)状態で打てるため、ライの心配がありません。
ドライバーでのミスは、クラブそのものの難しさが原因ではなく、「遠くへ飛ばそうとして振り回す」というプレイヤーの力みから生まれます。 ドライバーを持つ目的を「飛ばすこと」ではなく、「確実に当てて、何が何でもフェアウェイをキープすること」に切り替えてスイングすれば、ティーショットでのOBや致命的なエラーは激減します。
ドライバーで確実にフェアウェイに置くことができれば、2打目でライの良い場所からのびのびとウッドを振ることも可能になり、3打目でピンに近い場所を狙えるようになります。
5. 出だしのホールは「ボギーがいい」!心を軽くする目標設定
多くのゴルファーが「1番ホール」や「10番ホール」といった出だしのホールで大叩きをして、その日のゴルフを台無しにしてしまいます。「1打目からナイスショットをして、パーやバーディを狙うぞ」という過度な期待(攻めの姿勢)が、体に無駄な力み(交感神経の緊張)を生み、エラーショットを引き起こすからです。
Sメソッドでは、ハーフの出だしやタフな長いホールにおいては、最初から「ボギーがいい(ボギーで上がれれば大成功)」と考えてスタートすることを推奨しています。
「ボギーで大満足」と思えれば、全てのショットが優しくなる
例えば、420ydと非常に距離の長いパー4があるとします。 普通に考えると2オンが難しく、タフなホールですが、これを「420ydのイージーなパー5」と頭の中で変換します。
- 「5打(ボギー)で上がれれば最高だ」と設定する。
- そう思えれば、ティーショットで無理に距離を稼ぐ必要はなく、ドライバーを軽く振ってフェアウェイに置くだけでよくなります。
- 2打目もグリーンを直接狙ってバンカーに入れるリスクを冒さず、手前の安全な場所に運ぶ(レイアップする)作戦をとることができます。
このように、あらかじめ「ボギー」を自分のパー(マイパー)として設定し、コースに対して「強い敵(タフなホール)だから、ボギーをくださいと先に謝っておく」という謙虚な姿勢でプレイすると、不思議と肩の力が抜け、結果としてパーが取れたり、悪くてもボギーで簡単に収まったりするものです。
6. バンカーは「徹底的に避ける」のが100切りの絶対条件
100切りを妨げる最大の障害の一つが、グリーンの手前や周りに配置されている「ガードバンカー」です。 バンカーショットが苦手なアマチュアにとって、バンカーは一度入ると何打叩くか分からず、ホームランしてグリーン奥の池やOBに入れてしまうといった「大叩きの連鎖」の引き金になります。
ピンがバンカー越しの場合は「あえて狙わない」
アプローチやセカンドショットでグリーンを狙う際、ピンの手前にバンカーが待ち構えている状況では「絶対にピンを狙ってはいけない」というのがSメソッドの鉄則です。
- ピンが右側にあって手前にバンカーがあるなら、あえて左側の安全なグリーンエッジやラフを狙って打つ。
- そこから4打目のアプローチで乗せて、2パットのダブルボギー、あるいは1パットのボギーを狙う方が、バンカーに入れてトリプルボギー以上を叩くリスクを避ける上で圧倒的に安全です。
特に午前中の早いホールや、まだスコアに余裕がない段階では、徹底してバンカーを避けるルートを選択し、精神的なゆとりを保ったままハーフを折り返すことが、100切り選手権などの勝負どころで実力を発揮するための重要な戦略となります。
7. スイング中、アドレスからフィニッシュまで「体重の配分」は変わらない
フットワークやスイングの安定性において、多くのゴルファーが「テークバックで右足に体重を乗せ、ダウンスイングで左足に体重を移動させる」という激しい体重移動を意識しています。しかし、佐久間氏はこの体重移動の常識を明確に否定しています。
実際に足元に体重計を2台置いてスイングを計測してみると、アドレス時の体重配分(例えば左足55%、右足45%)は、テークバック中もインパクトの瞬間も、ほとんど変化していません。
スイングをビデオでスロー再生すると、フィニッシュで左足1本で立っているように見えるため、体重が100%左に移動していると錯覚しがちです。 しかし、それはクラブを振ったことによる「遠心力」と自分の体が引っ張り合い、バランスを保とうとしている結果として、足の裏にそうした圧力を感じているだけに過ぎません。
自ら意図的に体を左右に揺さぶって「体重移動」を行おうとすると、軸(支点)がブレてダフりやトップ、左右への曲がりが多発します。 土台(骨盤と足)はアドレスの位置から動かさず、アドレス時の適正な配分をキープしたまま、その場でクラブを正しく振ることこそが、安定したミート率を生み出し、エラーショットを完全に排除するフットワークの本質です。
まとめ:100切りを確実にする「3ステップ作戦」
100切り選手権やプライベートのラウンドで「今日こそは100を切りたい」と強く願うなら、ナイスショットの数を増やす練習を重ねるのではなく、以下の3つの具体的な戦術をコースで徹底してください。
- ラフに入ったら、迷わずアイアン(7番〜9番)を持つ 絶対にウッドで飛ばそうとせず、2打でピンまで100yd以内(できれば50yd以内)に運ぶことだけに集中する。
- 出だしのホールやタフなホールは「ボギーがいい」と考える 最初から「5打(または6打)」を目標にして、すべてのショットを楽に打つ。
- バンカーや池といったハザードは「狙わない・避ける」ルートを通る ピンデッドに狙うのをやめ、グリーンの広い側や安全なエリアへレイアップする。
ゴルフはエラーショット(1点・2点の大ミス)をいかに減らし、小さなミス(0.3点程度の軽いミス)の範囲でボギーやダボを拾っていく「数字の引き算ゲーム」です。 このSメソッドのディフェンス思考を次のラウンドから徹底すれば、焦りや不安から解放され、驚くほど簡単に、そして確実に100切り・ベスト切りを達成することができるでしょう。



まだ公開されている質問はありません